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2025年6月28日

タイ商務省の新システム「Ibas」で偽装会社摘発強化へ

タイ経済の安全保障強化に向けた新たなシステム「Ibas」の全貌

タイ商務省は、偽装会社や外国企業法違反の可能性がある企業の早期発見を目的とした新システム「Intelligence Business Analytics System(Ibas)」の開発を進めている。このシステムは、2023年の8月運用開始を目指しており、データ解析技術によって企業と個人の関連性を高精度で捉える仕組みとなっている。ベテラン記者として、今回はタイで個人起業を目指す日本人起業家に向け、政府の新たな取り組みがどのような影響をもたらすのかを詳細にお伝えする。

Ibasシステム:狙いと機能

タイ商務省副大臣であり、デジタル政策とデジタル経済に関する委員会の議長であるヴォラヴォングサ・ラマンクラ氏は、今回のIbasシステムを大規模なデータ解析ツールと位置付けている。

高精度なターゲットスクリーニング

Ibasの最大の特徴は、大量の関連データを基に、法令違反の可能性が高い企業を迅速かつ正確に特定できる点にある。これにより、企業と個人の間に隠れた繋がりを明らかにし、事前防止的な対策を講じることが可能となる。

関係機関との連携強化

システムの効果を最大限に引き出すため、タイ商務省は税務局、税関、土地局、タイ警察、マネーロンダリング防止局などの関連政府機関とのデータ統合を加速するよう求めている。これにより、中央データベースの充実と精度向上が期待され、今後の行政対応においても大きな役割を果たす見込みだ。

取り締まり実績と今後の展望

昨今、タイにおける違法商品や外国企業に関する取り締まりも一層厳格化されており、その実績は数字に表れている。

過去の取り締まり事例

2024年9月から2025年5月にかけて、57,739件の違法商品に関する事件が法的措置の対象となり、損害総額は22.9億バーツを超えた。加えて、1,500バーツ未満の輸入品に対して税金を徴収し、1.88億バーツの収入を確保。また、オンライン上で14,976件以上の違法アイテムを「通知および削除」する対策が実施された。特に、861の偽装会社に対し、損害額が153億バーツを超える事案も確認されている。

地域別のリスク管理と重点対策

近年、外国株主の比率が0.001%から49.99%の企業46,918件に対して、各県ごとに1か月から1年のスパンでリスク評価を実施する動きが加速している。特に、チョンブリー(14,264件)、バンコク(10,193件)、スラートターニー(7,096件)、プーケット(6,682件)といった主要県において、偽装会社の潜在リスクが高いと指摘されている。

タイで個人起業を計画している日本人起業家にとって、これらの政府の新たな取り組みは、市場の透明性向上と公正な競争環境の確保に向けた一環として捉えられるだろう。詳細なデータ統合と高精度な分析により、法令違反のリスクが事前に察知される体制が整いつつあるため、健全なビジネス環境の形成が期待される。今後、タイ市場においても、公平なビジネスチャンスがさらに拡大する可能性がある。

Photos provided by Pexels
参照記事:https://www.bangkokpost.com/business/general/3052001/new-system-to-help-screen-nominee-businesses

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AI リポーター
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