タイの電気自動車市場2024年の動向：BEV登録台数減少とHEVの増加が注目
タイの自動車市場は、電気自動車（EV）の普及において様々な動きを見せています。特に2024年におけるバッテリー式電気自動車（BEV）の登録台数が前年比で大幅に減少し、ハイブリッド電気自動車（HEV）の登録台数が増加したことが注目されています。この記事では、タイのEV市場における最新の統計データを基に、その背景や今後の展望について詳しく解説します。
2024年のBEV登録台数の減少
前年比36.1％減の登録台数
タイ運輸省陸運局（DLT）のデータを基にジェトロが集計したところ、2024年12月のBEVの新規登録台数は前年同月比で36.1％減の7,146台となりました。このうち、乗用車が42.0％減の5,352台、二輪車が10.8％減の1,648台となっています。この大幅な減少は、タイ国内におけるBEVの普及においていくつかの課題が存在することを示唆しています。
この記事の目次
累計新規登録台数の減少傾向
2024年1月から12月までのEVの累計新規登録台数を見ても、BEVは前年同期比で3.5％減の96,718台となっています。乗用車では8.1％の減少、二輪車では逆に14.1％の増加が見られました。この状況から、BEVの市場シェアが縮小している一方で、二輪車市場ではEVが一定の需要を保持していることが分かります。
HEVとPHEVの増加傾向
HEVの著しい増加
一方で、ハイブリッド電気自動車（HEV）の登録台数は8.7％増の5,986台となりました。乗用車だけでも5,937台の増加が見られ、HEV市場は堅調に成長しています。HEVは燃費性能が高く、環境に優しいとされるため、消費者からの支持を受けていると考えられます。
PHEVのわずかな減少
プラグインハイブリッド電気自動車（PHEV）は2.6％減の521台と、若干の減少傾向が見られます。しかし、PHEVは依然として一定の需要を保っており、特に都市部での利用が増加する可能性があります。
メーカー別の市場シェア
中国メーカーの強さ
2024年12月のBEV新規登録台数をメーカー別に見ると、中国メーカーが圧倒的なシェアを占めています。BYDが1位で1,446台（シェア27.0％）、次いでSAICモーター・CPが698台（13.0％）、NETAオートが671台（12.5％）となっています。中国メーカーの合計シェアは83.8％に達しており、タイ市場における中国車の存在感が非常に強いことが分かります。
年間累計ではBYDが優位
2024年1月から12月までのBEV累計新規登録台数でも、BYDが38.4％とトップを維持しています。SAICモーター・CPが13.0％、NETAオートが11.4％、CHANGANが8.5％と続き、中国メーカーの合計シェアは85.3％に達しています。このデータは、中国メーカーがタイのEV市場で支配的な地位を築いていることを示しています。
EV全体の累積登録台数の増加
前年同月比43.6％増
タイ全体のEV累積登録台数は、2024年12月末時点で前年同月末比43.6％増の762,217台となりました。内訳として、BEVが72.5％増の227,490台、HEVが36.7％増の469,543台、PHEVが17.1％増の63,184台となっています。特に購入者全体のEVへの関心が高まっていることが伺えます。
乗用車と二輪車の動向
BEVの中でも乗用車が77.5％増の159,266台と大幅に増加しており、二輪車も63.9％増の62,631台と堅調に伸びています。これにより、タイのEV市場は多様なニーズに対応しながら成長していることが確認できます。
今後の展望と課題
インフラ整備の重要性
BEVの登録台数減少に対して、インフラの整備が重要な課題となります。充電ステーションの不足や、充電時間の長さが消費者の購入を躊躇させる要因となっている可能性があります。政府や民間企業による充電インフラの拡充が求められています。
価格競争と環境への配慮
中国メーカーの強さは価格競争力に起因していると考えられます。今後、タイ国内のメーカーも価格面での競争力を高める必要があります。また、環境への配慮からEVの普及が進む中で、持続可能な生産と消費が重要なテーマとなるでしょう。
HEVのさらなる普及
HEVの増加は、消費者が燃費性能と環境性能を重視していることを示しています。HEVのさらなる技術革新と普及促進策が、タイの自動車市場において重要な役割を果たすでしょう。
結論
タイのEV市場は、BEVの登録台数が減少する一方で、HEVの登録台数が増加するなど、複雑な動きを見せています。中国メーカーの強さが市場を支配している現状ではありますが、インフラ整備や価格競争力の向上、HEVのさらなる普及が市場の拡大に向けて重要な要素となります。今後もタイのEV市場の動向に注目が集まることでしょう。
よくある質問（FAQ）
Q1. なぜ2024年のBEV登録台数が減少したのですか？
A1. 主な要因として、充電インフラの不足や高価格が挙げられます。また、消費者の関心がHEVにシフトしていることも影響しています。
Q2. HEVの増加はどのような影響を与えますか？
A2. HEVの増加は、燃費性能と環境性能への関心が高まっていることを示しており、自動車メーカーにとってはHEV技術の強化が求められます。
Q3. 中国メーカーがタイ市場で強い理由は何ですか？
A3. 中国メーカーは価格競争力が高く、多様なモデルを提供しているため、タイ市場で高いシェアを維持しています。
Q4. EVインフラの整備は今後どのように進むべきですか？
A4. 政府や民間企業による充電ステーションの拡充、充電時間の短縮技術の導入が必要です。また、公共スペースでの充電設備の設置も重要です。
Q5. タイのEV市場の今後の見通しはどうなりますか？
A5. インフラ整備や技術革新が進むことで、今後もEV市場は拡大が期待されます。特にHEVの普及が市場成長の鍵となるでしょう。
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参照記事：https://www.jetro.go.jp/biznews/2025/01/c1300ac967552b2d.html
