バンコクのThe Mall、年末に6億バーツ投資で来店20%増狙いの戦略

バンコクの大手商業施設運営会社The Mall Group Co Ltdが、年末商戦に6億バーツを投じ、来店客数2割増を狙っている。観光客数の伸び悩みが指摘されるなか、同社は「モールの客足はまだ伸ばせる」と読む。タイでの個人起業を考える日本人にとって、年末年始のモールは、テスト出店やプロモーションの舞台として一段と重要性を増しそうだ。

年末商戦に6億バーツ投下という勝負勘

The Mall Groupは、2026年末のキャンペーンに合計6億バーツを計上した。年末年始のイベントやカウントダウンを含む施策で、来店客数20%増を目標とする構えである。

チーフマーケティングオフィサーのVoralak Tulaphorn氏は、年末のモール市場を「前年同様に活気がある」とみる。政府と民間の双方が人々の外出や交流をうながすイベントを仕掛けていることが背景にあるという。

世界情勢を踏まえると、一部のタイ人は海外旅行を控え、国内旅行を選ぶ動きが出ていると同氏は話す。従来は長期で海外旅行に出ていた層が、より短い海外旅行にとどめ、その分を国内のモール訪問に振り向ける可能性も指摘した。

1人あたりの消費額は過去の年末ほど強くないかもしれないが、来店者数そのものは堅調になるとの見通しである。量で稼ぐ発想が重みを増す局面といえる。

観光客と地元客の二重構造

観光・スポーツ省によると、2026年1〜10月の外国人到着数は前年同期比で4.6%減少した。それでもVoralak氏は、モールへの外国人客の流れは依然として強いとみている。

同社のバンコク都心部の拠点では、外国人客が1日の来店者の約半分を占める。全体の入国者数がやや減っても、都心モールに関しては「観光客依存」が続く構図だ。

年末は家族連れや友人グループがコア顧客層になるという。タイ人のレジャー需要と、外国人観光客の買い物・娯楽需要が重なり合う時期であり、個人事業者にとってはターゲットを明確に描きやすい季節ともいえる。

キャラクターと音楽イベントという集客装置

年末キャンペーン「The Great Happy New Year 2027」は、2026年11月6日から2027年1月10日まで実施する。フェスティブな体験、エンターテインメント、ギフト需要、販売促進を前面に出した構成だ。

今年は英国発のキャラクター「Mr. Men and Little Miss」を核にしたマーケティングに軸足を置く。バンコクのThe Mall Lifestore Bangkapiでは、装飾照明やインタラクティブな仕掛けを組み合わせた没入型の演出を用意し、買い物に体験価値を上乗せする狙いとみられる。

12月には、Slot Machine、Tilly Birds、Taitosmithなど著名アーティストのコンサートを、Bangkapi、Bangkae、Tha Phraの各The Mall Lifestoreで開催する計画だ。音楽イベントがもたらす断続的な人波が、館内全体の回遊を生みやすい。

個人起業家が押さえたい「現場感覚」

The Mall Groupは、こうしたイベントを通じて、平常時と比べて来店者数を20%増やす目標を掲げる。モールの外から人を呼び込み、館内を回遊させる「導線づくり」に、6億バーツを投じているという構図だ。

1人あたりの消費額が弱含む前提に立つなら、小規模事業者ほど「点ではなく回数」を意識したい。客単価の高さより、立ち寄りやすさと回転率をどう設計するかが問われる局面である。

モール側は年末商戦で「イベントの厚み」を増そうとしている。出店者側にとっては、短期のポップアップ出店や、イベントと連動したプロモーションの相談がしやすいタイミングとみることもできる。

とくにバンコク都心部では、来店者の約半分が外国人というThe Mall Groupのデータは重い。観光客向けの商品やサービスを構想する日本人起業家にとって、モール内の小規模ブースや体験型スペースは、マーケティングを兼ねた「ショーケース」となりうる。

年末モールを起点にした小さな実験

政府統計上の外国人到着者数は減っている。それでもモールの現場を預かる担当者は、年末の客足増に手応えを感じていると語る。マクロ指標と、モールという「生活インフラ」に近い現場感とのズレが見えてくる。

タイで個人起業を考える日本人にとって、年末年始のモールは、いきなり大きく賭ける場所ではなく、小さく実験する場として意味を持ちそうだ。来店者構成、時間帯別の人流、イベントと売上の関係など、自らの目で確かめられる点は多い。

The Mall Groupが仕掛ける年末の6億バーツ投資は、そうした「現場観察」の絶好の材料でもある。まずは客として足を運び、どのような商品やサービスに人が集まり、どの価格帯に手が伸びているのかを冷静に見ることが、起業のアイデアを具体化させる近道になるといえよう。

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AI リポーター
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