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2026年2月1日

タイで起業する日本人がA220戦略から学ぶ5つの視点

タイで個人起業する日本人が、エアバスA220戦略から学べる5つの視点

欧州の航空機大手エアバスが、A220という小型旅客機シリーズの拡大型「A220-500」(約180席)投入に向けて、本格的な販売キャンペーンに踏み出そうとしている──。

一見すると、タイで個人起業を目指す日本人には遠い話題に見えますが、このプロジェクトの進め方には、小さなビジネスにもそのまま応用できる実務的な示唆が詰まっています。

A220はもともとカナダの企業が手掛けた110~160席クラスの機体で、資金難からエアバスが2018年に1ドルで事業を引き継いだ経緯があります。現在も生産の立ち上がりの遅れやコスト高、エンジン耐久性への懸念などから赤字が続いているとされていますが、エアバスはこの機体の「ストレッチ」、すなわち胴体を延長したA220-500構想を温め続けてきました。

ここから、タイで個人事業を始める日本人が押さえておきたい5つのポイントを抽出してみます。西暦2023年(タイ仏暦2566年)以降に起業を検討している読者にとっても、中長期の事業設計の参考になるはずです。

1. 「開発してから売る」のではなく、「売れる見込みが立ってから開発する」

エアバスは、A220-500の正式開発に踏み切る前に、航空会社やリース会社に対して積極的に提案を始めています。狙いは明確で、「開発費をかけるに値するだけの事前受注を確保すること」です。

実際に同社は、金融機関向けの会合の場で「近く条件付きの予約交渉を始める」「年末までに正式な機種発表もあり得る」といった説明を行い、取締役会による最終判断の前に、2~3社の“看板顧客”を押さえることを目標にしています。

タイでの個人起業に置き換えると:

– 店舗を借りる前に、どれだけの見込み客がいるかを具体的に確認する

– 新サービスを作り込む前に、「もしこういうサービスがあれば、いくらなら利用しますか」と仮オファーを出して反応を見る

– 少数でもよいので、「この人たちに必ず買ってもらえる」という“看板顧客層”を特定してから本格投資に踏み切る

という発想になります。

「まず作って、あとで売る」のではなく、「売れる確度を高めてから作る」。エアバスのA220-500計画は、この順番の重要性を静かに物語っています。

2. 「シンプル・ストレッチ」──既存資源を最大限活かす拡大戦略

A220-500は、エンジンや主翼を新しく設計し直すのではなく、胴体を延長して座席数を増やす“シンプル・ストレッチ”が構想されています。

このやり方は、

– 大規模な開発コストを抑えつつ

– 1機あたりの座席数を増やし

– 結果として「座席1つあたりのコスト」を下げる

ことを狙ったものです。一方で、航続距離(飛べる距離)が一部犠牲になる可能性があるとされています。

個人ビジネスへの示唆は明快です。

– メニューやサービスをゼロから作り直すのではなく、今ある強みを「少しだけ伸ばす」

– 既存の仕組み(スタッフ、設備、仕入れルートなど)を変えずに、取り扱い量や客単価を上げる方向の工夫を考える

– その代わり、提供エリアやターゲット層をある程度絞り込む(=“航続距離”をあきらめる)

タイで個人起業する際、すべてを新規開発しようとすると、時間もお金もかかります。エアバスのように「既存のプラットフォームを活かして、どこを伸ばせば収益性が高まるか」を冷静に設計する視点が欠かせません。

3. 赤字体質の事業でも「構造改革のカード」になり得る

A220は現時点で赤字プロジェクトとされていますが、エアバスは拡大型の投入によって、次のような構造改善を見込んでいます。

– 機数が増えることで、サプライヤーとの契約条件を再交渉しやすくなる

– 生産量の増加により、1機あたりの固定費を下げられる

– 機体サイズを拡大し、価格が低くなりがちなリージョナル機市場(ブラジルのメーカーなどと競合する領域)から、一段上のセグメントに軸足を移せる

つまり、「今は赤字でも、規模と構造を変えることで、将来の収益源に変える」という中長期の狙いです。

タイで個人事業を営む場合でも、同じ発想が応用できます。

– 収益性は低いが、仕入れボリュームを確保できるメニューやサービスをあえて維持することで、仕入先との関係や条件を有利にする

– 小さな仕事を積み重ねて実績を示し、将来の大口取引につなげる

– あえて単価の低い市場でスタートしつつ、徐々に単価の高いゾーンへ移行する布石として位置付ける

赤字の有無だけで即断するのではなく、「その事業が、自分のビジネス全体の構造にどんなレバレッジを与えるか」を意識することが重要です。

4. 既存商品の「食い合い」を恐れすぎない

アナリストの間では、A220-500が投入されれば、エアバスの主力機A320の販売を一部奪う「カニバリゼーション(共食い)」が起きる可能性が指摘されています。

しかし同時に、

– A220は、もともと価格競争が厳しいリージョナル機市場に位置していた

– 座席数を増やすことで、より収益性の高いゾーンにシフトできる

という評価もあります。

エアバスにとっては、一部の共食いを許容してでも、より高収益なポートフォリオへ移行できるかが焦点になっているわけです。

個人起業でも、これはよく起きるジレンマです。

– 新しい高価格メニューを導入すると、既存の標準メニューの売上が減るのではないか

– より効率のよいサービスに切り替えると、従来のサービスが不要になるのではないか

こうした不安から、新しい一手を打てないケースは少なくありません。

エアバスのケースが示すのは、「共食いが起きるかどうか」ではなく、

– ビジネス全体の単価と収益性が上がるか

– 自社が本来勝負すべき市場に近づけるか

を軸に意思決定すべきだ、という点です。タイで小さな事業を営む場合も、「一部の既存売上の目減り」と「事業全体の質的な向上」を天秤にかけて判断する視座が求められます。

5. 「レンジ」か「座席数」か──何を捨てて、何を取るのかを明確にする

A220-500構想では、エンジンや翼を変えずに座席数だけを増やすことで、

– 航続距離(一部の用途では不利になる可能性)

– 座席あたりコスト(航空会社にとっての採算性)

のトレードオフが発生すると見込まれています。

エアバスは、「すべてのルートで万能な機体」を目指すのではなく、どの性能を優先し、どの性能は割り切るのかという選択を迫られています。

個人起業もまったく同じです。

– サービス提供エリアを広く取る(=レンジを伸ばす)代わりに、1人あたりの単価や効率が下がる

– 対象顧客を絞り込み(=レンジを短くする)代わりに、そのゾーンでの「席数=提供回数や客数」を増やして採算性を高める

どちらも同時に最大化することは基本的にできません。

エアバスは2026年を「A220にとって大きな年」と位置付け、そこに向けて決断の準備を加速していると伝えられています。読者の皆さんも、例えば西暦2026年(タイ仏暦2569年)といった中期の時間軸を一つの目安に、

– どの市場で

– どの顧客に

– どの強みをぶつけるのか

を、意識的に絞り込んでいく必要があります。

おわりに:大企業の機体開発は、個人起業の「事業設計の教科書」になる

エアバスのA220-500構想を俯瞰すると、

1. 事前受注で需要を検証してから開発する

2. 既存プラットフォームを「シンプル・ストレッチ」で活かす

3. 現在の損益ではなく、構造的なレバレッジで事業を評価する

4. 共食いリスクより、ポートフォリオ全体の質を優先する

5. 何を捨て、何に資源を集中するかを明確化する

という5つの共通原則が浮かび上がります。

タイで個人起業を志す日本人にとっても、これらはそのまま使える「考え方のフレーム」です。西暦2023年(タイ仏暦2566年)以降、ビジネス環境は一段と不確実さを増していますが、だからこそ、場当たり的な発想ではなく、A220プロジェクトのように中長期のストーリーと現実的な打ち手をセットで描くことが重要になってきます。

大企業の機体開発プロジェクトを、自分の小さなビジネスの鏡として眺めてみる──その視点こそが、タイでの個人起業を着実に軌道に乗せるための第一歩と言えるでしょう。

Photos provided by Pexels
参照記事:https://www.bangkokpost.com/business/general/3187063/airbus-to-start-sales-drive-for-larger-a220-jet-sources-say

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