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2026年1月30日

タイ観光ブームで生まれるすき間市場:日本人起業の狙い

中国とタイの観光ブームが生む「すき間市場」――タイで個人起業する日本人の視点

タイで個人事業を立ち上げようとする日本人にとって、観光は依然として最もわかりやすい成長分野の一つです。

最近公表されたタイ・中国間の観光動向を見ると、数字の裏側に「小さく始める起業」にとって現実的なビジネス機会が見えてきます。

なお、タイでは公的文書で仏暦(例:仏暦2566年=西暦2023年)が用いられますが、以下ではわかりやすさのため西暦で整理します。

1. 数字が示す「観光マネー」の流れ

まず、ベースとなる最新の動きを整理します。

1-1 中国が狙う「タイ人150万人」

中国側の観光当局(中国駐タイ国家観光局=CNTO)は、2026年にタイ人旅行者を少なくとも150万人呼び込みたいとしています。

すでに2025年には100万人超が中国を訪れる見通しで、そこからさらに積み増す計画です。

背景には、以下のような政策と環境整備があります。

– 2024年3月1日にタイ人向けの中国ビザ恒久免除を導入

– 買い物向けの即時タックスリファンド(免税還付)

– タイ発の需要増を見込み、中国系航空会社6社がタイ・インターナショナル・トラベルフェア2026に出展

– 重慶、湖南、北部など「新興デスティネーション」の売り込み、とくに冬の観光を重点プロモーション

CNTOによると、2024年上期のタイ人の訪中客数は前年同期比494%増とされています。

従来は中高年層が中心だった訪中旅行が、今は「全年齢層」をターゲットにシフトし、若年層の伸びも始まりました。2024年中には、デジタルプラットフォーム上でのプロモーションを一段と強化する計画も示されています。

タイ人の中国旅行は、量的にも質的にも拡大フェーズに入ったと見てよいでしょう。

1-2 春節10日間で外国人125万人、4,220億バーツ市場

一方、タイ国内への人とお金の流れも無視できません。

タイ政府観光庁(TAT)は、次回の春節(旧正月)期間:2月13〜22日の10日間について、以下のように見込んでいます。

– 外国人旅行者数:125万人(前年比10%増)

– 外国人旅行者による消費:354億バーツ(前年比14%増)

– タイ国内旅行(タイ人の国内移動)回数:230万回(前年比3%増)

– 国内旅行による消費:67億バーツ(前年比4%増)

– 上記を合わせた春節期間全体の観光収入:422億バーツ(前年比13%増)

中国人観光客も含むこのインバウンド需要に加え、国内旅行市場も確実に拡大しています。

数字だけを見れば、この10日間だけで数百億バーツ規模の消費が発生する「ピークシーズン」であり、個人事業レベルでも狙いどころがはっきりしている期間だと言えます。

2. 日本人がタイで個人起業する際の「三つの視点」

それでは、この動きはタイで起業を考える日本人にとって何を意味するのでしょうか。

ポイントは「どこに立ち位置を取るか」です。

2-1 タイ人の「訪中需要」を支えるニッチサービス

まず注目すべきは、タイ人が中国へ出ていく需要(アウトバウンド)です。

– ビザ恒久免除

– 即時タックスリファンド

– 中国側の積極的なデジタルプロモーション

– 中国系航空会社による十分な座席供給

これらは、タイ人にとって「中国旅行のハードルが一気に下がった」ことを意味します。

タイ人の中国旅行が増えるほど、その周辺には次のような「すき間」が生まれやすくなります。

特定地域向けの専門ツアー企画

– 重慶、湖南、北部の冬の観光など、CNTOが推す新興デスティネーションに特化

– 一般的なパッケージではカバーしきれないテーマ性のある旅行(例:冬の北部文化体験、湖南の食文化を巡る旅 など)

買い物・タックスリファンドの攻略サポート

– 即時タックスリファンドを前提にした「買い物モデルコース」の情報提供

– 高額消費を想定した事前相談サービスやオンライン講座

若年層向けのオンライン情報発信・コンテンツ制作

– CNTOが若い層をターゲットにしている点に合わせた、SNS・動画・ブログによるタイ語コンテンツ

– 「初めての中国旅行」「冬の北部の楽しみ方」などテーマを絞ったガイド

日本人がタイで起業する場合、「旅行会社」をいきなり大きく始めるのではなく、情報・企画・コンテンツといった軽い資本で始められる領域から入る選択肢があります。

中国側が重視している新興都市(重慶・湖南・北部など)に、現地情報を丁寧に整理したタイ語コンテンツを提供するだけでも、立派な価値になります。

2-2 春節の10日間に集中する「インバウンド+国内旅行」

次に、タイ国内に流れ込むお金と人の動きです。

春節10日間で

– 外国人旅行者による354億バーツ

– タイ人の国内旅行による67億バーツ

合計422億バーツの観光消費が発生するとタイ政府観光庁は見ています。

これは、年間の中で「最も読みやすいピーク」の一つです。

この特定の10日間をターゲットに、個人レベルでも取り組める起業の方向性は次のように整理できます。

短期集中型のサービス設計

– 春節期間限定の特別メニュー、プロモーション、イベント

– 10日間完結型のツアーサポートや通訳サービス

外国人とタイ人双方を意識した「二重構造」の商品

– 昼は外国人向け、夜はタイ人向け、など時間帯・言語を切り替えたサービス

– 同じ場所・設備を、ターゲットだけ変えて使い分ける発想

国内旅行需要を踏まえた「タイ人向け」視点

– 230万回の国内旅行が生じるという前提に立ち、タイ人にとっての「ちょっとした不便」を解消するサービス設計

– 交通、情報不足、言語(地方とバンコクのギャップ)など、細かな摩擦に着目

ここで重要なのは、「インバウンドだけを見ない」という点です。

数字上、タイ人による国内旅行も確実に増えており、この内需分をどう拾うかが個人起業にとって現実的な勝負どころになります。

2-3 デジタルとリアルをどう組み合わせるか

CNTOは、若い層を含む全年齢層への訴求に向けてデジタルプラットフォームでのプロモーション強化を打ち出しています。

この方向性は、そのままタイで起業する日本人にとっても示唆的です。

– 旅行先の選定から情報収集まではオンライン(デジタル)

– 実際の体験・サービス提供はオフライン(リアル)

という二層構造を前提にすると、個人事業でも組み立てやすくなります。

具体的には、

– タイ語での旅行情報サイト、SNSアカウント、メルマガなど「入口」となるメディアを自前で持つ

– 春節や大型連休など時期を限定したリアルサービス(ツアー、イベント、ワークショップなど)をそこに紐づける

というかたちです。

タイ人の中国旅行、中国人を含む外国人のタイ旅行、タイ人の国内旅行――。

この三つの流れは、すべてデジタル上での情報接点を起点に動いています。

CNTOが2月6日に北部観光をテーマにしたイベントを予定しているのも、特定テーマ+デジタル発信を組み合わせる典型例といえます。

3. タイで個人起業する際に押さえておきたい「実務感覚」

最後に、数字とトレンドをどのように「起業の計画」に落とし込むかを整理します。

3-1 「いつ」「誰の」「どの旅行」に乗るのかを明確にする

ベースドキュメントに示された情報から、タイの観光をめぐる時間軸はおおよそ次のように読めます。

– 2024年3月1日以降:タイ人向け中国ビザ恒久免除による訪中需要の本格化

– 2024年上期:タイ人の訪中客数が前年比494%増という急拡大局面

– 2026年:タイ人訪中客150万人超を見込む中、中国は新興地域(重慶・湖南・北部など)を前面にプロモーション

– 毎年の春節(例:2月13〜22日):外国人125万人、国内旅行230万回、総観光収入422億バーツのピーク

この流れの中で、

– 「タイ人の中国旅行」に寄り添うのか

– 「春節期の外国人・国内旅行」の一部を取りにいくのか

– あるいは両方をまたぐ形でビジネスを組み立てるのか

自分のリソース(言語、資本、人脈)を踏まえて軸を一つ決めることが、個人起業では重要になります。

3-2 小さく始め、数字で検証する

観光ビジネスは一見華やかですが、個人事業としては次のような組み立て方が現実的です。

1. デジタル上の情報発信・企画から着手する

– タイ語での発信力を磨きつつ、特定テーマ(例:北部の冬、中国新興都市、春節期の賢い過ごし方など)を絞る

2. 春節や連休など「読めるピーク」に合わせた小規模な実験を行う

– 10日間限定の商品やサービスを設定し、利用者数や単価を必ず記録する

3. 中国側・タイ側の発表する数字を定点観測する

– 訪中タイ人の数、中国からのプロモーションの方向性、TATの観光収入見通しなどを、毎年同じタイミングでチェックする

ベースとなる統計(150万人、494%増、422億バーツ等)は、あくまでマクロの数字にすぎません。

個人事業にとって肝心なのは、こうしたマクロの流れを踏まえつつ、自分のサービスがどのくらいその流れを捉えられているかを、自前の数字で把握することです。

中国がタイ人旅行者150万人を狙い、タイが春節10日間で422億バーツの観光収入を見込む――。

この二つの動きは、いずれも「観光を軸にした人とお金の大きな移動」が続くことを示しています。

タイで個人起業を目指す日本人にとって重要なのは、この大きな流れの中で、

– 自分はどの地点に立ち、

– どの人の、どのタイミングの消費を、

– どんな形で支えるのか

を具体的に描くことです。

数字は、その答えを考えるための「地図」としては十分な精度を持っています。

あとは、その地図上で、自分の立ち位置をどこに置くかを決める段階に来ていると言えるでしょう。

Photos provided by Pexels
参照記事:https://www.bangkokpost.com/business/general/3185669/china-targeting-over-15m-thai-visitors-in-2026

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