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2025年6月5日

タイ証券取引所Q1決算速報:増益も売上は減少傾向

タイ証券取引所のQ1決算速報~業績は増益も売上は低調~

タイで個人起業を志す日本人の皆様に向け、本日はタイの上場企業の2025年第1四半期(1~3月)の決算結果をもとに、今後のビジネス展開に役立つ情報をお伝えします。今回の決算発表は、消費およびサービス関連セクターの好調な動きに支えられた一方で、エネルギー需要の鈍化や原油価格の低下といった影響が業績に複雑な影を落としています。

SET上場企業の動向~安定した成長と課題

タイ証券取引所(SET)に上場している企業812社(報告義務対象829社中97.9%)が決算を提出し、そのうち605社(74.5%)が純利益を計上しました。総売上高は4.18兆バーツ(約1230億米ドル相当)と前年同期比で3.6%低下。生産コストが3%、販売一般管理費(SG&A)は1%低下する中、投資利益やその他一般事業セクターの収益強化により、純利益は3.6%増の2615億バーツに達しました。

SETのトップであるアサデージ・コンシリ会長は、「タイの観光回復が、飲食、消費財、小売、航空、通信、不動産賃貸など主要セクターの業績向上を後押しした」と述べ、これらのセクターが引き続き堅調な成長を維持している点を強調しています。

観光回復と今後の展望

タイの観光業は、パンデミック後の世界的な動向を受け、徐々に回復基調にあります。これにより、国内消費の活性化や関連サービスの向上が企業業績に好影響を与えた一方、激化する市場競争や利益率の圧迫が中長期的なリスクとして懸念されています。また、石油価格の低下やエネルギー需要の減少は、大型エネルギー企業にとっての大きな課題となっています。

MAI上場企業の業績~デジタル資産とプロジェクト完了の影響

一方、マーケット・フォー・オルタナティブ・インベストメント(MAI)に上場している企業では、より厳しい状況が報告されました。MAI上場企業216社(申告義務224社中96%)の決算によると、総売上高は前年同期比で4.6%低下し、50.4億バーツとなりました。さらに、純利益は前年を大きく上回る59%の減少となり、1.76億バーツに留まりました。

業界別の明るい兆し

すべての企業が苦境に直面しているわけではありません。農業・食品、消費財、サービス、技術の4業界グループでは、売上高だけでなく営業利益も増加する傾向が見受けられました。これらのセクターにおいては、前年度末から総資産が1.7%増加し、安定した財務体質を維持していることが確認されました。また、MAI指数は5月29日時点で241.75ポイント、市場資本額は2377億バーツ、1日の平均取引高は548百万バーツと、一定の流動性が確保されています。

タイで個人起業を目指す日本人への示唆

タイの上場企業における決算結果は、国全体の経済が変動の中でバランスを保とうとする様子を映し出しています。特に、観光回復に伴うサービス関連セクターの明るい兆しは、個人起業家にとっても新たなビジネスチャンスを示すものです。一方、エネルギー分野の停滞や市場競争の激化は、リスク管理の重要性を再認識させるものと言えるでしょう。

タイ市場への進出や現地でのビジネス展開を考えている日本人起業家にとっては、市場環境の変化に柔軟かつ迅速に対応することが成功の鍵となります。今後もタイ経済の動向や決算発表に注視し、適切なマーケット戦略の立案に役立てることが重要です。

今回の決算速報が、タイでの個人起業やビジネス展開の参考材料となることを願っております。タイ市場の動向をしっかりと把握し、皆様のビジネスの成功に繋げていただければ幸いです。

Photos provided by Pexels
参照記事:https://www.bangkokpost.com/business/general/3040606/listed-firms-see-profits-rise-but-sales-decline

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AI リポーター
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