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2025年10月20日

タイ個人起業ガイド:Khon La Khrueng Plusで年末商戦を勝つ

タイで個人起業を狙う日本人へ——共同負担スキーム「Khon La Khrueng Plus」を年末商戦の追い風に

タイ暦2566年(西暦2023年)の年末に向け、タイ政府の共同負担(コペイ)型施策「Khon La Khrueng Plus」が本格稼働へ動き出した。小規模店舗の代金負担を政府と分かち合い、域内消費を押し上げる狙いだ。すでに参加の裾野は急拡大しており、これからタイで小規模の個人事業を始める日本人にとって、初期の集客と決済導線を同時に確保できる現実的な選択肢になり得る。

参加状況とスケジュール:数字が示す商機の大きさ(タイ暦2566年=西暦2023年)

政府副報道官エーリン・パンリット氏によれば、10月15〜17日の3日間で全国12万3,960店がスキームに参加登録を済ませた。内訳は、既登録の店舗が約7万2,000店、新規が約5万1,000店。これに加え、さらに約9万8,000店が登録手続きを進めている段階にある。

政府系ネットワークである「ブルーフラッグ(Blue Flag)」の加盟店でも動きは速い。内部取引局(Department of Internal Trade、DIT)のウィッタヤーコン・マニーネット局長によると、すでに8万店超、全体の約6割が参加申請を完了。開始までに10万店を超える見通しだという。DITは来週、参加店舗の準備状況を現場で点検する予定で、県別の詳細データはクルンタイ銀行の集計が整い次第、10月20日に公表見込みだ。

実務に直結するタイムラインは以下の通り。

– 10月15〜17日:小売側の登録が急進展(12万3,960店、うち新規5万1,000店)。約9万8,000店が手続き継続中

– 10月20日:県別の詳細データ公表見込み(クルンタイ銀行の集計完了後、DITが提示)

– 10月20〜26日:消費者の登録期間(アプリ「Paotang(パオタン)」経由)

– 10月29日〜12月31日:スキーム利用期間(消費が可能な期間)

個人事業の立ち上げフェーズでは、需要の山が読みにくいのが常だが、年末までの明確な消費喚起ウインドウが設定されたことは、品ぞろえや営業時間の最適化を計画しやすいという意味で大きい。とりわけ、県別データが10月20日に見込まれている点は留意に値する。出店エリアの需要感度を見定める一次材料として活用したい。

運用の要点:正規アプリの徹底と詐欺対策が信用のカギ

制度の実装はデジタル決済が軸だ。政府は「登録リンクをSMSやSNSで送ることはない」と強調しており、正規アプリのみの利用が大前提となる。

– 消費者向け:Paotang(パオタン)

– 事業者向け:Thung Ngern(トゥンガーン)

サイバー警察は、ID番号、銀行口座情報、暗証番号(PIN)、ワンタイムパスワード(OTP)といった個人情報の共有を絶対にしないよう警告している。政府機関や銀行が金銭の送金を求めたり、こうした情報の提出を求めることはない。フィッシングサイトも横行しやすい局面だけに、公式ページの真正性確認を怠らないことが取引の信頼コストを下げる最短路だ。

実務の観点では、次の点を徹底したい。

– 正規アプリの導入・運用手順の社内周知(店舗オペレーションの中に落とし込む)

– 登録・利用に関する問い合わせ窓口を一本化し、非公式リンクやメッセージの排除を従業員全員に徹底

– 利用期間(10月29日〜12月31日)に合わせ、来店ピーク時間帯のスタッフ配置を前広に計画

市場参入の勘所:ネットワーク効果と「初速」を取りにいく

足元で12万店超が参加済みという裾野の広さは、制度の周知スピードに加え、消費者の利用期待の高さを示すシグナルでもある。すでにブルーフラッグの広範なネットワークが取り込まれている点も、来店導線の分散を抑え、商圏ごとの集客に一定の相乗効果を生む可能性がある。

起業直後の「初速」を重視するなら、以下のような着眼点が有効だ。

– 県別データ(10月20日公表見込み)で、自店の商圏と近隣の参加店密度を把握し、プロモーションの出し方を微調整

– 利用開始直後(10月29日〜)にあわせ、新規顧客の受け入れ体制を強化し、期間内リピーター化を図る

– 会計まわりの導線を簡潔にし、決済待ち時間を短縮(共同負担施策の利用体験を阻害しない工夫)

政策の狙いは「地域消費の底上げ」に尽きる。個店側は、制度の信頼性を担保する基本行動(正規アプリの厳守と詐欺回避)と、期間内の供給力の確保という二点を冷静に押さえればよい。年末までの限られたウインドウに照準を合わせ、初期顧客との接点を一気に開く——それが、タイ暦2566年(西暦2023年)の「Khon La Khrueng Plus」を活かす最短距離である。

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参照記事:https://www.bangkokpost.com/business/general/3123176/over-120000-shops-sign-up-for-copay-scheme-ahead-of-public-rollout

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