ベトジェット・タイ、ウドンタニ新ハブ化へ日本線増便と2028年50機計画

中東情勢の緊迫や燃料高で航空業界が揺れるなか、タイの格安航空ベトジェット・タイが地方路線と日本線を同時に拡充している。とりわけ東北部ウドンタニを新たなハブに育てる構想は、バンコク一極から地方へ商圏を広げたい日本人起業家にとって意味が大きい動きだ。地方空港の国際化が進めば、初期費用を抑えたローカルビジネスの選択肢も広がるとみられる。

広がる地方空港ネットワーク

ベトジェット・タイのウォラナット・ラプラバン最高経営責任者(CEO)は、燃料価格は中東情勢の影響でなお不安定だとしつつも、今年第4四半期の業績は「ハイシーズン」に支えられ堅調になるとの見方を示す。需要の回復を前提に、同社は機材と路線の拡大を急いでいる。

同社は現在、ボーイング737MAX8を11機、エアバスA320・A321を12機運航している。年末までにボーイング737を25機、エアバスA320を4機体制とし、2028年までに保有機を50機へ増やす計画だという。小型機を中心に、地方・近距離路線を厚くしていく戦略である。

中東での紛争を受け、一部のインド・中国路線では供給を絞った。ただ、その後は減便分を戻しつつ、国内線の座席数を増やしている。足元では内需を取り込みながら、外需の戻りを待つ構図だといえる。

観光のピークに向け、日本との結びつきも強める。今後の「涼しい季節」には大阪・東京便の増便を予定し、プーケット―台北―福岡を結ぶ新ルートも開く計画だ。日本や台湾、ベトナムなど東アジア全体を視野に入れた路線網を描き始めている。

一方、タイ運輸省傘下の空港局が運営するウドンタニ、コーンケン、スラタニの各空港では、国際民間航空機関(ICAO)の基準に沿った運用アップグレードが進行中である。プラッタポン・プラッタプラシット運輸副大臣によると、将来的な国際線の直行便就航を見据えた対応という。

ウドンタニ空港には、中国・昆明からの新路線開設を検討する別の航空会社も打診しているとされる。日本から見れば、中国・ベトナムなど周辺国との乗り継ぎ拠点としても、地方空港の存在感が増しつつある状況だ。

ウドンタニ新ハブ構想と日本路線

ベトジェット・タイは、ウドンタニをタイ東北部のハブ空港に育てる方針を掲げる。保有機の増加に合わせ、地方市場でのシェア拡大を狙う構えだ。

空港局によれば、ウドンタニ空港の利用客数は昨年200万人を超えた。地方空港としては一定の規模であり、今後の伸びしろも大きいとみられる。11月から翌年3月にかけては園芸博覧会(Horticultural Expo)の開催も予定され、会期中は国内外からの人流が増える公算が大きい。

同社はバンコク―ウドンタニ線の便数を段階的に増やす計画で、9月までに1日2往復から4往復へ増便する。需要動向次第では5往復への増便も検討するとしており、バンコクと東北部を結ぶ「空の幹線」としての性格が強まる。

さらに、ウドンタニとベトナム・ホーチミン市などを結ぶ直行便の実現可能性も調査しているという。実現すれば、タイ東北部とベトナムとの双方向観光の活性化が見込まれる。日本人から見ると、メコン圏をまとめて回遊する旅行スタイルの一部として、ウドンタニの位置づけが変わる可能性がある。

ウドンタニ空港では、日本・台湾・ベトナムへ向かう乗客向けに「SkyConX」と呼ぶ新サービスも始まった。スワンナプーム空港経由で最終目的地まで向かう旅客が、出発空港でチェックインから受託手荷物の預け入れ、出国手続きまで済ませられる仕組みだ。バンコクでの乗り継ぎ負担が減り、地方―日本間の移動が実質的に「ドア・ツー・ドア」に近づく。

このチェックスルーサービスは、年内にコーンケンにも拡大し、2027年初めにはスラタニでも導入する計画とされる。東北部と南部の主要地方都市から、日本や台湾、ベトナムへシームレスにつながる動線ができつつあるといえる。

日本人起業家にとっての現実的なチャンス

タイ地方都市での個人起業を考える日本人にとって、航空ネットワークの変化は「人の流れの地図」が書き換わることを意味する。ウドンタニやコーンケン、スラタニの空港機能が強化され、直行・乗り継ぎ便が増えれば、観光客やビジネス客の「入口」と「出口」が分散するためだ。

例えばウドンタニの場合、園芸博覧会の開催時期は、一時的に宿泊、飲食、交通手段といった需要が跳ね上がる局面になりうる。既存のホテルや飲食店だけでは吸収しきれないニッチな需要に、小規模ビジネスの余地が生まれることも多い。短期イベントをきっかけに、常設の体験型サービスや日本語対応のツアー企画につなげる発想もありうる。

SkyConXのようなチェックスルーサービスは、旅行者だけでなく起業家本人の移動コストにも影響する。バンコク経由での日本出張や一時帰国の心理的ハードルが下がれば、「本社は日本、生活とビジネス拠点はタイ地方」といった二拠点型の働き方も現実味を増す。地方に腰を据えながら、仕入れや営業のために身軽に日本と行き来できるかどうかは、小規模ビジネスの持続性を左右する要素である。

今後、政府が地方空港を国際化するにあたり、航空会社向けに着陸料や航行援助料金の減免などインセンティブを用意するべきだとの提言も出ている。実際に導入されれば、航空会社が地方路線に機材を回しやすくなり、運賃や便数にも波及する可能性がある。起業家の側から見れば、「どの都市の空港に路線が集まりやすいか」を読むことが立地選定の一要素となる。

地方都市側にも宿題はある。ウォラナットCEOは、各都市が外国語表記の案内表示を増やし、新たな観光コンテンツや祭りを開発する必要性を指摘する。インフラ整備の遅れは、せっかくの路線拡充が一過性に終わるリスクにつながるためだ。逆にいえば、行政と連携して「街の見せ方」を磨くことができるプレーヤーには、継続的なチャンスがある。

今後数年、ベトジェット・タイは2028年に向けて機材を増やし続ける計画であり、路線ポートフォリオも動的に変わっていくとみられる。日本人起業家にとって重要なのは、バンコクやプーケットといった定番都市だけでなく、ウドンタニやコーンケン、スラタニのような「これから国際線が増える地方」の情報を、日頃からタイ語・英語の現地ニュースで追いかけておくことだろう。どの空港にどの国からの便が増えるかを半年〜数年単位で読み解くことが、地方での小さな一歩を確実な事業に育てる近道になると考える。

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AI リポーター
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