タイでCBAM対応ビジネスに個人起業する戦略──資本金200万バーツ・日本人49%で成立するアイデア集
タイ市場とCBAMが生む新しいビジネスチャンスの背景
EU向けCBAM対象品目の輸出が急増している
タイ商務省・貿易政策戦略局(TPSO)は、EU向けの炭素国境調整メカニズム(CBAM)対象品目の輸出額が、2025年1〜10月で前年同期比54.7%増加したと発表しています。2024年にはEUが世界から輸入したCBAM対象品目が1,072億8,000万ドル、そのうちタイからEUへのCBAM対象品目の輸出は3億6,393万ドルと報告されており、すでに「数億ドル規模」のマーケットがタイ企業にとって現実のものになっています。
タイからEUへ輸出されるCBAM対象品目は、主に鉄鋼とアルミニウムで、2025年1〜10月のEU向けタイ鉄鋼輸出は3億ドル(EU向けCBAM輸出の84.5%)、アルミニウムは5,647万ドル(同15.5%)とされています。セメント、肥料、電力、水素など他の対象品目の輸出はまだ僅少です。
この記事の目次
この構図から分かるのは、「鉄鋼・アルミニウム関連のサプライチェーンに属するタイ企業」が、今後ますますCBAM対応を迫られるということです。日本人個人起業家にとっては、ここに専門サービスやITツールを提供する余地が生まれています。
タイ政府と経済界に求められているアクション
TPSOは、タイ政府として以下のような方向性を示しています。
– CBAM関連の規制動向の監視と、民間企業への情報発信
– 温室効果ガス(GHG)排出量データの準備
– 検討中の気候変動法を通じた、GHG排出量を管理する国家枠組みの整備
さらに、経済界に対しては、次の行動を促しています。
– CBAM要件に準拠したGHG排出量の測定・報告・検証(MRV)システムの開発・導入
– エネルギー効率の向上、再生可能エネルギー利用拡大、低炭素技術と生産効率向上への投資
– 炭素コスト管理のためのグリーン調達方針の導入
– 炭素排出量を測定・監視する炭素会計システムの構築と、炭素クレジット・メカニズムの活用
ここから読み取れる「ビジネス機会」は、以下の通りです。
– 中小企業レベルでは、自前でMRVシステムや炭素会計を構築するノウハウ・リソースが不足しがち
– タイ語・英語での規制情報を整理し、自社にどう落とし込むかを支援する専門家が求められる
– グリーン調達方針を実務レベル(サプライヤー選定・評価基準・社内ルール作成)に落とし込む支援ニーズが高い
この「情報不足・人材不足」を埋めるサービスは、資本金200万バーツ・日本人1名+タイ人4名のスモールチームでも、十分に成立し得る領域です。
CBAM・脱炭素を軸にした具体的起業アイデア
アイデア1:中小製造業向けCBAM対応・GHG可視化コンサルティング
【顧客像】
EU向けに鉄鋼・アルミニウム製品を直接輸出している、あるいはそのサプライチェーンに関わるタイの中小〜中堅製造業。日系企業のタイ法人も含む「外国企業の現地子会社」もターゲットになり得ます。
【提供価値】
– 自社のGHG排出量を「どの範囲で」「どう測るか」を具体的に設計
– CBAM報告に必要な情報を、社内のどの部署からどう集めるかを整理
– シンプルなテンプレート(スプレッドシートやチェックリスト)を用意し、社員だけで運用できるレベルまで落とし込む
【サービス内容(仮説ベースの設計例)】
– 初期診断:既存の生産プロセスとエネルギー使用状況のヒアリング
– MRVの簡易設計:
– どの排出源を対象にするか
– データを誰が、いつ、どう記録するか
– 報告フォーマットの整備:
– EU向け取引先から求められる情報を整理
– 社内研修:担当者向けの運用トレーニング
【収益モデル】
– 初期診断+体制設計のパッケージ料金
– 月額の伴走サポート(データチェック、報告作業サポート)
【集客チャネル(一般論)】
– 日系企業コミュニティや業界団体のセミナー登壇
– 製造業向け展示会・勉強会での情報発信
– ウェブサイトや記事・動画による「CBAM対応の実務解説」コンテンツマーケティング
【タイ人4名体制での役割イメージ】
– タイ人コンサルタント2名:現場ヒアリング・タイ語資料作成・顧客サポート
– データ担当1名:テンプレート整備、データ整理・分析補助
– 営業・バックオフィス1名:見込み客へのフォロー、契約・請求、総務
日本人起業家は、全体設計・日系企業窓口・サービス品質管理の役割に集中できます。
アイデア2:グリーン調達・炭素コスト管理のアウトソーシング支援
TPSOが示した「炭素コスト管理のためのグリーン調達方針の導入」ニーズに特化したサービスです。
【顧客像】
– EU向け完成品メーカーに部材を供給しているタイ企業
– すでに品質・価格で取引実績はあるものの、「環境・炭素面での証拠」を求められ始めている企業
【提供価値】
– グリーン調達方針のドラフト作成支援(調達部門のポリシー文書)
– サプライヤー評価項目への「GHG・環境」要素の組み込み
– サプライヤーから集めるべき環境データ項目の整理とテンプレート化
【サービス内容(仮説)】
– 現状の調達プロセス・評価基準の棚卸し
– EU・CBAMの要求事項と照らし合わせたギャップ分析
– サプライヤー向け説明資料・アンケートフォーマット作成
– パイロットサプライヤー数社でのテスト運用サポート
【収益モデル】
– プロジェクト単位のコンサルティングフィー
– 年次での評価・見直しサポート契約
【集客チャネル(一般論)】
– 既存の日系・欧州系企業の購買部門への直接アプローチ
– サプライチェーン・調達関連のセミナー開催
– CBAMやグリーン調達に関する実務ガイド資料の無料配布からのリード獲得
【タイ人4名体制での役割イメージ】
– 調達実務経験のあるタイ人コンサルタント1〜2名
– サプライヤー対応・通訳を兼ねるスタッフ1名
– 社内事務・リサーチ担当1名
日本人は「日本の製造業で一般的な調達管理の考え方」を翻訳し、タイ企業向けに落とし込むブリッジ役を担うイメージです。
アイデア3:CBAM・脱炭素ビジネスの企業研修・情報発信メディア
CBAMやGHG、グリーン調達は、現場にとってまだ耳慣れない概念です。そこで、「分かりやすい解説+実務的なワークショップ」を組み合わせた研修・オンライン講座ビジネスも現実的です。
【顧客像】
– 日系・タイ系製造業の管理職・担当者
– 業界団体や商工会が主催する勉強会・セミナーの企画担当者
【提供価値】
– タイ政府・EUの最新の動きを「現場が理解できる言葉」で整理
– 自社の状況を棚卸しするためのワークシート提供
– 研修を通じて、今後コンサルティング案件につながる「種まき」ができる
【収益モデル】
– 1社向けのオンサイト研修フィー
– オンラインセミナーの参加費
– 会員制の情報サイト(月額課金)+テンプレート提供(仮説)
【集客チャネル】
– 無料または低価格の入門セミナーをオンライン開催
– 経営者向けメルマガや解説記事の継続配信
– 日系・タイ系メディアへの寄稿
この研修・情報発信を「フロント商品」として位置づけ、アイデア1・2のコンサルティングにつなげていく設計が有効です。
最初の30日から始める実行ロードマップ
最初の30日:情報整理と仮説構築フェーズ
1. 市場・ニーズの深掘り
– TPSOなど公的機関の情報をベースに、CBAM対象業種・企業像を具体化
– タイの製造業関係者や日系企業関係者とのヒアリング(一般論としての行動)
2. ビジネスモデルの骨組み決定
– 上記3アイデアのうち「どの組み合わせ」で始めるか決める
– 初年度の売上目標・サービス単価の仮置き(大まかなレンジで)
3. タイ人パートナー候補・共同出資者の検討
– 信頼できるタイ人と、株式比率51%をどう持ってもらうかの方向性を決める
– 将来の役割(名義だけでなく、実務にどう関わるか)もすり合わせる
4. 法制度・税務・ビザ・ワークパーミットの確認(専門家への相談)
– 想定している事業内容で問題がないか
– 資本金200万バーツ・タイ人4名雇用前提の範囲で何ができるか
5. 最低限のブランディング準備
– 会社名候補・ロゴ案・簡易なウェブページ構成
– 「タイの中小企業向けCBAM対応支援」を明確にうたうメッセージ作成
31〜90日:法人設立とテストマーケティングフェーズ
(以下は一般論としての流れです)
1. 法人設立と出資・資本金準備
– 日本人49%・タイ人51%の出資比率で会社設立の手続きを進める
– 資本金200万バーツを、銀行口座への払い込み・初期コストに充てる準備
2. タイ人スタッフ4名の採用計画
– 最初は2〜3名から採用し、受注状況を見て4名体制に近づける考え方も現実的
– コンサル系ビジネスでは、「知的労働+語学力」を持つ人材を優先
3. テスト顧客への提案
– 既知のネットワーク(日系企業、業界関係者など)に対し、テスト価格でサービス提供を提案
– 実際の案件を通じて、テンプレートや研修内容をブラッシュアップ
4. 情報発信の開始
– CBAM・GHG・グリーン調達に関するコラム・簡易レポートを定期配信
– セミナー・勉強会を小規模でもよいので開催し、認知を広げる
5. 90日目時点での見直し
– 受注状況・問い合わせ内容から、どのサービスに引き合いが集中しているかを分析
– サービスメニュー・価格・ターゲットの優先順位を調整
ビザ・ワークパーミット・タイ人4名雇用を踏まえた現実的な事業設計
人員構成と役割分担のモデル
資本金200万バーツ、日本人1名(ビザ・ワークパーミット取得予定)、タイ人4名雇用という前提で考えると、「人件費を抑えつつ高付加価値サービスを提供する」ことが重要になります。
想定しやすい構成は次のようなイメージです(一般論としてのモデルです)。
– 日本人マネージングディレクター1名
– 全体戦略立案、主要顧客の対応、サービス品質管理
– タイ人コンサルタント2名
– 顧客現場でのヒアリング、資料作成、研修実施
– タイ人アナリスト1名
– データ整理・分析、テンプレート整備、レポートドラフト作成
– タイ人営業・バックオフィス1名
– 見込み客フォロー、契約・請求事務、総務・人事補助
この構成なら、ビザ・ワークパーミット要件で求められるタイ人雇用数も満たしつつ、サービス提供能力を確保できます。専門的な技術領域(エンジニアリング・詳細なLCA計算など)は、必要に応じて外部専門家にスポットで依頼する形にすれば、固定コストを抑えやすくなります。
資本金200万バーツの使い方の考え方
具体的な金額配分は事業計画・物価水準などによって変わりますが、考え方としては次のような優先順位が現実的です。
1. 会社設立・各種手続き費用
2. オフィス(または小規模コワーキングスペース)と基本設備
3. タイ人4名分の人件費(数カ月分の運転資金)
4. ウェブサイト・資料・テンプレートなどの制作費
5. 集客用のセミナー開催費・広告費
コンサルティングや研修中心のビジネスであれば、重い設備投資はほとんど不要なため、資本金の多くを「人件費と営業活動」に回す設計がしやすいのが利点です。
想定リスクと回避策
最後に、この分野で起業する際に想定される主なリスクと、その回避の方向性を整理します。
– 法令・制度変更リスク
– CBAMやタイの気候変動法の内容・運用は変わり得るため、常に最新情報をモニタリングし、サービス内容を柔軟にアップデートできる体制を作ることが重要です。
– 信頼性・専門性に対する疑念
– 実績ゼロの立ち上げ期は、日系・タイ系の公的機関や業界団体のセミナー登壇・共同企画などを通じて「第三者のお墨付き」を少しずつ積み上げる発想が有効です。
– タイ人パートナー・スタッフとのミスマッチ
– 出資比率51%を担うタイ人や初期メンバーとは、役割・責任・意思決定プロセスをできるだけ書面化して共有し、期待値のギャップを減らすことが大切です。
– 顧客側の「危機感不足」
– いきなり高額なコンサル契約を提案するのではなく、低価格の診断・研修・セミナーからスタートし、「これを放置するとどんな損失があり得るか」を具体例で示しながら、徐々に本格的な支援に誘導する流れが現実的です。
こうしたポイントを押さえつつ、ビザやワークパーミット、法人設立の条件に合うよう全体設計をしていくには、現地事情に詳しい専門家の伴走があると安心です。タイでCBAM・脱炭素分野を軸に個人起業を検討されている方は、タイ個人起業支援会(https://thai-kigyosien.com)に相談し、会社設立スキームや日本人49%・タイ人51%の資本構成、タイ人4名の採用計画まで含めた事業計画を一緒に具体化していくことをおすすめします。
この起業アイデアは、AIが外部ニュースサイト記事を読んで独自に考察した物で、常に正しいとは限りません。
タイ個人起業支援会が上記の起業アイデアでの起業を保証する物でも、推奨する物でもありません。
起業アイデアは、あくまでも可能性の一つとしてお考えください。
