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2025年12月4日

タイで起業する日本人が知るべきNex Pointと商用EVフリート

タイで個人起業を目指す日本人へ:商用EVフリートの波とNex Pointの戦略を読み解く

タイの商用電動車(EV)市場で、再生可能エネルギー大手Energy Absolute(EA)傘下のNex Point Plcが一段と存在感を強めている。企業や官公庁のフリート需要を狙い、翌年に2,500台の販売を計画。商用EVを「タイの国産商用車」として育て、長期成長と脱石油依存の両立を掲げる。同社の動きは、物流、移動、サービス業での起業を検討する個人にとって実務的な示唆が多い。注:タイは仏暦表記が一般的で、仏暦2566年=西暦2023年。

Nex Pointの布陣:フリート市場への本格シフト

– 事業基盤と資本関係

– Nex PointはEAの子会社。EA Mobility Holdingが持分を49.99%まで引き上げ、グループ資源の活用で市場浸透を急ぐ構えだ。

– 供給力と製品ライン

– チョンブリー県のGateway City工業団地にある組立工場は年9,000台規模。バス、ミニバス、貨物トラック、ピックアップまで幅広い商用車を視野に入れる。「Nex」「Mine」両ブランドで展開する。

– ターゲットと販売計画

– 企業・官公庁のフリート需要に照準を合わせ、翌年に2,500台の販売を計画。商用EVの裾野拡大に合わせ、国内だけでなくベトナム、インドネシア、マレーシア向けの輸出も交渉中だ。

– プロダクトの実例

– 「Nex Vantastic」は1充電あたり最大333km走行可能なバッテリー式カーゴバンとして、Thailand International Motor Expo 2025(~12月10日)で披露。実機を確かめる機会となった。

政策・需給環境:追い風と不確実性

– 需要側のドライバー

– 乗用EV市場はすでに拡大基調。Nex Pointは「物流・輸送事業者のカーボンニュートラル志向」を背景に、商用EVも追随すると見る。

– 政府支援への要請

– 乗用EV向けに見られるインセンティブと同様の補助措置を、商用EVメーカーにも拡げるよう政府に要請。タイが東南アジアのEVハブを目指す上で、輸送部門の排出削減を後押しする狙いだ。

– 経営リスクの現在地

– 2024年は納入遅延と再編の影響で27.6億バーツの赤字。ただし、同社は需要の上向きと政策支援への期待をテコに巻き返しを見込む。

起業家の実務ポイント:調達・運用のチェックリスト

– 調達先の目利き

– フリート対応に強みを持つNex Point(Nex/Mineブランド)を候補に。バスから貨物用途まで幅広い車型が想定され、用途別の選択肢が取りやすい。

– 供給計画と納期の確認

– 翌年2,500台計画と年9,000台の生産能力は供給面の安心材料だが、直近に納入遅延があった事実もある。契約前に納期と体制を具体的に詰めたい。

– 製品の実機確認

– モーターエキスポ等で公開された車両(例:Vantastic 333km/充電)の仕様・稼働イメージを現場で確認。積載、航続、運行サイクルの適合性を見極める。

– 政策動向のモニタリング

– 商用EVへの補助拡充は経営に直結する可能性がある。政府支援の帰趨を注視し、導入タイミングの判断材料にする。

– 地域展開の見取り図

– 同社は周辺国への供給交渉を進める。将来的な域内展開を志向する場合、車両調達とサービス体制の越境対応に関する情報収集が有効だ。

まとめ:商用EVは「選べる段階」に入りつつある

商用EVを巡るタイの市場は、乗用車に続く波が視野に入ってきた。Nex Pointは、資本面の後押しとフリート特化の開発で、企業・官公庁ニーズに応える体制を整えつつある。起業家にとっては、供給力、実機性能、政策の三点を軸に、導入可否とスケジュールを見定めるのが現実的だ。フリートの電動化が進む局面で、先んじて検証と対話を始めることが、中期の競争力につながる。

Photos provided by Pexels
参照記事:https://www.bangkokpost.com/business/motoring/3148965/nex-point-promotes-green-fleet-options-to-firms

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