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2025年10月29日

タイQuick Big Winで個人起業が狙う太陽光4案件のチャンス

タイ「Quick Big Win」太陽光4案件で個人起業は何を狙うか

タイ政府が来月にも始動させる大型太陽光発電プロジェクトは、中小企業(SME)にとって参入機会が広がる内容だ。エネルギー相アタポン・レークピブーン氏は、ソーラーパネルの輸入・供給、設置サービスを手がけるSMEが従来よりも規制面の障壁が低くなり、恩恵を受けやすくなると示した。アヌティン政権の旗艦政策「Quick Big Win」は、短期間で経済効果を可視化する方針で、太陽光を含むエネルギー開発全体では7,200億バーツ規模の国家プロジェクト承認が議論されている。太陽光関連では1,200億バーツの投資誘発が見込まれ、国内経済を6カ月以内に下支えする狙いだ。なお、タイの年次は仏暦表記が一般的で、仏暦2566年は西暦2023年に相当する。

従来型入札からの転換—SMEに広がる参加余地

これまでの国家プロジェクトでは大企業が要件適合や手続きの面で優位に立ち、SMEは複雑な規制対応に苦慮して受注機会を逃しがちだった。今回の「Quick Big Win」では、SMEのアクセスを意識した4つの太陽光案件が用意されている点が特徴だ。エネルギー相は「以前のスキームに比べ、政府案件への参加障壁は小さくなる」とし、短期での実行と波及効果を重視する姿勢を明確にしている。

個人起業が捉えるべき4案件の要点

1. コミュニティ・ソーラーファーム(合計1,500MW)

– 事業の骨子:コミュニティと企業の共同出資で太陽光発電所を整備し、地方電力公社(Provincial Electricity Authority)を通じて近隣コミュニティへ売電する仕組み。

– 期待効果:年間で約100万トンの二酸化炭素削減を見込む。

– 起業の勘所:パネルの輸入・供給、設置サービスを軸に、地域と連携した案件形成で存在感を発揮しやすい。

2. 農業向けソーラーポンプ普及(全国約70万ライ)

– 事業の骨子:農地に太陽光電力を用いた給水・散水ポンプを普及させる取り組み。

– 起業の勘所:農家に近い販売・施工の機動力が問われる分野で、設置サービスのオペレーション構築が鍵となる。

3. ダムでの水上太陽光を加速

– 事業の骨子:タイ発電公社(Electricity Generating Authority of Thailand)が運用するダムで、フローティング型太陽光の導入を加速。

– 起業の勘所:機器供給や設置業務の一部で関与余地が広がる可能性がある。

4. 屋根上(Rooftop)ソーラーの税優遇(9万世帯)

– 事業の骨子:屋根上パネルを導入する世帯に対する減税措置を推進。

– 起業の勘所:家庭向けの提案・設置需要が喚起される見込みで、見積から導入までの一気通貫のサービス体制が差別化に直結する。

日本人個人起業者への実務ヒント

– 参入領域の明確化:輸入・供給・設置という基本機能のどこに強みを置くかを定め、上記4案件のどれに最適化するかを選ぶ。

– 案件形成の近道:コミュニティや農家に近い現場で、導入メリットを具体化する提案資料と見積の即応体制を整える。

– 実行力の磨き込み:短期間で成果を求める政策方針に合わせ、施工の標準化、品質管理、アフターサポートの手順を簡潔にする。

– 情報のタイムリー取得:来月開始予定の動きをにらみ、公式発表や関係当局のアナウンスに即応できる体制を用意する。

「Quick Big Win」は4カ月間での迅速な実行を掲げ、経済への波及を半年以内に狙う。従来よりもSMEの参画障壁が低い今こそ、太陽光の輸入・供給・設置という基本機能に磨きをかけ、コミュニティ、農業、ダム、家庭用という4つの受け皿に即した事業モデルを素早く組み立てたい。タイの太陽光市場で個人起業が存在感を示すための「最初の好機」は、目の前に来ている。

Photos provided by Pexels
参照記事:https://www.bangkokpost.com/business/general/3127549/smes-better-placed-to-tap-quick-big-win-solar-projects

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