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中国観光客、2026年に900万人回復へ ~タイ市場に広がるビジネスチャンス~
タイにおける日本人個人起業家の皆さまにとって、今後数年間で見込まれる中国観光客数の回復は重要なビジネス機会となる。タイ旅行業界は、キャラテッド便の増便や大型インセンティブツアーを通して、訪タイ客の安全性・魅力度を再評価しており、2026年には中国からの観光客数が約900万人に達する見込みだ。今回は、タイ旅行業界の最新動向と、個人起業家としてどのようなビジネス機会が生まれるのかを探る。
キャラテッド便とインセンティブ施策が牽引する回復基調
タイ旅行代理店協会(Atta)の調査によれば、中国からの観光客回復は主に以下の3つの要因によって推進されるという。
1. キャラテッド便の拡充
今年から始まるキャラテッド便補助金制度では、1便あたり35万バーツの助成が行われる。タイでは既に重慶、蘭州、杭州の主要都市と協力関係を構築しており、この取り組みだけで約15万人の中国人観光客がタイに訪れると期待されている。キャラテッド便のさらなる増便は、今後の中国市場の回復において大きなカギとなるだろう。
2. インセンティブツアーによる高付加価値顧客の動員
会議、インセンティブ、コンファレンス、展示会(MICE)分野では、通常高い消費意欲を持つ層がターゲットになる。Attaの関係者は、これらの施策を通じて約7万5000人の旅行者がタイを訪れる見通しを示している。特に、今年度の大型インセンティブイベントとして、2026年のAmway主催会議が計画され、1万3000人以上の参加者を見込んでいる。同イベントはタイの安全性とインフラへの信頼回復を象徴する重要なイベントとなる見込みだ。
3. グローバルビジネスイベントの影響
2026年10月には世界銀行総裁会議がタイで開催される予定だ。この国際イベントは、タイの先進的なビジネス環境や、観光・インフラ面での優位性を改めて世界に示す絶好の機会となる。これにより、既存の安全志向の中国人観光客のみならず、新たなインディペンデント旅行者の再来が期待される。
タイ市場の回復がもたらす個人起業家へのメリット
タイで個人起業を目指す日本人にとって、今回の中国観光客回復策は多岐にわたるビジネスチャンスを提供するものだ。
観光関連サービスの拡充
訪タイ客の増加に伴い、宿泊施設、飲食店、ツアー手配、交通手段などの観光関連サービスの需要がさらに高まる。特に、高級志向のMICE市場におけるサービス提供は、他国との差別化を図る上でも魅力的な分野と言える。
新規市場へのアプローチ
キャラテッド便や大型インセンティブツアーを利用したイベントが多数予定されている中、ビジネスパートナーとして現地企業や旅行代理店との連携が強まる可能性もある。これにより、信頼性の高いネットワークを構築し、長期的な事業展開を目指すことができる。
安全イメージの向上によるブランド価値
タイ政府や関連機関が安全性の向上を強く打ち出している現在、タイが安心して訪れることのできる観光地として国内外から再評価されることが予想される。これに乗じて、日本からの起業家もしっかりとしたブランドイメージを持って現地市場に進出することで、差別化されたサービス提供が期待できる。
まとめ
中国からの訪タイ観光客が2026年に約900万人に達するという楽観的な見通しは、タイ全体の観光・ビジネス環境にとって極めてポジティブなサインだ。キャラテッド便の増便、インセンティブ施策、大型国際イベントの開催が相まって、タイ市場は新たな成長段階に突入する。タイで個人起業を目指す日本人にとって、これらの動向を機に観光関連サービスやビジネスネットワークの構築に取り組むことが、今後の成功への示唆となるだろう。
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参照記事:https://www.bangkokpost.com/business/general/3079869/chinese-arrivals-may-hit-9m-in-2026