この記事の目次
タイで起業を検討している日本人個人起業家の中には、名義貸しを利用してビザや労働許可証を取得しようと考える方もいるかもしれません。しかし、実際には名義貸しを行うことで、大きなリスクを抱える可能性があります。ここでは、突然のイミグレーション視察の実態や、名義貸しにまつわる主なリスクについて解説します。
突然のイミグレーション視察は本当にある?
- ビザ更新期限に要注意
タイでは、外国人(日本人を含む)従業員がいる企業に対して、イミグレーションが突然視察に来ることがあります。特に注意すべきなのが「ビザ更新期限の日」。通常、その前日までに従業員の滞在延長申請が完了しており、翌日に結果が出るタイミングで、担当官が会社事務所を訪問するのです。 - 正社員が不在なら呼び出し必須
視察時に全正社員が揃っていなかった場合、イミグレーションへ全員を呼び出す必要があります。遠方で翌日集合が難しい社員がいたり、書面上だけの“正社員”が実際には勤務していなかったりすると、大きな問題に発展しかねません。
名義貸しを使った起業に潜むリスク
タイで個人起業をする際、タイ人名義に頼る「名義貸し」を選択する方は少なくありません。しかし、この方法には以下のリスクが伴います。
- 不正使用の可能性
名義上のタイ人パートナーが、会社資産や口座を不正使用するリスクがあります。実質的なオーナーが関知しないところで不正が行われるケースもゼロではありません。 - 法的責任の所在
表向きのオーナーとは別に、実質的な責任を負うのは名義を借りた側=あなた自身です。法人が法的トラブルに巻き込まれたとき、本来のオーナーではなくあなたが追及される可能性があります。 - 税務上のトラブル
名義貸しをしたタイ人パートナーが税務申告を怠ったり、不正確な申告を行った場合、後々になってあなた自身が追加徴収や罰則の対象になりかねません。 - 解散の難しさ
事業がうまくいかず法人の解散を決めても、名義を貸したタイ人パートナーが協力しない場合、解散手続きが長期化・複雑化してしまう恐れがあります。
イミグレーション調査のポイント
- 担当官の聞き取り調査
イミグレーションの担当官は正社員に対して、具体的な業務内容や給与、勤務年数を詳しくヒアリングします。実際に勤務している実態がなければ答えに詰まってしまい、不自然な点が判明するとビザ更新が難しくなります。 - 言語対応の必要性
会社代表者や従業員が英語だけで対応できるとは限りません。タイ語を話せる人材がいないと、意思疎通の問題からさらに疑いを持たれるケースもあります。
後悔しないためのポイント
- 名義貸しに頼らない事業設計
リスクを最小化するため、名義貸しに頼らず正規の手続きを踏むことが望ましいです。タイで要求される雇用人数や資本金なども、専門家に相談して合法的な手段を探りましょう。 - 現地で信頼できるサポートを探す
タイでの個人起業を円滑に進めるには、労働許可証やビザ申請、会計サポートなどを含む包括的な支援が必要です。信頼できる日系のサポートサービスを活用することで、面倒な手続きやリスクを軽減できます。 - タイ語を含むコミュニケーション体制
イミグレーション担当官とのやりとりや、現地スタッフとの情報共有のためにも、最低限のタイ語コミュニケーション体制を整えておくと安心です。
まとめ
タイで個人起業を目指す場合、名義貸しのリスクやイミグレーションの突然の視察など、多くの潜在的課題を見落としてしまいがちです。後々困ることがないよう、事前のリサーチと専門家への相談を欠かさず行いましょう。名義貸しに頼らず合法的に会社設立を進めることが、タイでのビジネス成功への第一歩です。
もし名義貸しやビザ手続きなどでご不安があれば、タイ個人起業支援会が会社設立・ビザ・労働許可証・会計業務など、総合的にサポートいたします。タイでの起業を成功させるために、ぜひ一度ご相談ください。