この記事の目次
はじめに
タイでも2023年末にかけて、EV普及率が爆発的に向上してきた。
特に中国初のBYD社が手がけるEVがタイ国内では人気で、2023年10月にはタイ国内のEV新車販売台数の約24%を占めるまでに達した。特に車両価格が80万バーツ台となるORA社のGood Catもあり、比較的EVに手が出しやすい環境が整ってきた。
ここで、「電気自動車って、どこで充電するの?タイ国内の充電スポットは?」という疑問がある方も少なくないだろう。
この記事では、タイ国内で利用できるEV充電サービス各社をレビューしてみた。
なお、充電した車両はテスラ社のModel Y(2023年モデル)だ。
※ この記事の情報は2023年12月〜2024年1月現在の物であり、筆者が利用した実体験に基づく物ではありますが、充電スタンドによっては利用方法や価格などが異なる可能性がありますので、予めご承知ください。
現在、タイ国内、特にバンコクでは主に以下のEV充電サービスが利用できる(順不同)。
充電サービス名称 | 予約の要不要 | 充電単価(kWh/税込) | 評価 |
---|---|---|---|
ReverSharger | 必要 | 7.50バーツ/kWh | ★★★☆☆ |
EA Anywhere | 不要 | 6.55バーツ/kWh | ★★★☆☆ |
On-ion | 不要 | 約10.36バーツ/kWh(時間単位課金) | ★★★☆☆ |
Altervim Super Charge | 不要 | 7.5バーツ/kWh | ★★★★☆ |
EleXA | 不要 | 8.5バーツ/kWh | ★★★☆☆ |
PEA VOLTA | 不要 | 7.4バーツ/kWh ※2024年1月12日より価格改定。 | ★★★★☆ |
EV Station PluZ | 不要 | 9.0バーツ/kWh ※2024年1月15日より価格改定。 | ★★★★☆ |
EVolt | 不要 | 9.0バーツ/kWh | ★★★☆☆ |
MEA EV | – | – | – |
Tesla Supercharger(テスラ車オーナーのみ) | 不要 | 7.17バーツ/kWh ※2024年10月18日より価格改定。 | ★★★★★ |
以下、各充電サービス毎の充電手順と、利便性をまとめてみた。
ReverSharger(予約制)- ★★★☆☆
バンコク都を中心に充電ネットワークを持つEV充電サービス会社。Shellのガソリンスタンドにも充電器を設置している。充電スポットの数は比較的少なめ。
筆者が利用した充電スポットは、スクンビット39にある「Tops Food Hall」に設置されている充電器だ。
単価は7.50バーツ/kWhで、1時間15分ほど充電して計11.862kWhを充電した。筆者が充電時の平均充電出力は約9.5kWhとなる。
利用料は駐車料金6.25バーツ、充電料金88.94バーツの計95.19バーツだった。
充電までのステップは以下の通りだった。
- 専用アプリより、利用したい充電スポットを選ぶ。
- 予約したい充電スタンドと、利用したい時間(分数)を選ぶ。
- 予約できる日時から、適当な日時を選ぶ。
- 充電コネクタを車に接続する。
- スマホで充電スタンドのQRコードを読み取ると、充電が始まる。
- 予約時に選択した時間が経過すると充電が自動的にストップする(予約に空きがあれば延長可能)。
- 充電スタンドのQRコードを読み取ってチェックアウト。
利便性など総合評価は5つ星中3としたい。理由は、事前予約が必要なことと、QRコードの読み取りが必要な為、買い物ついでに利用するには少し手間が多いためだ。
EA Anywhere(予約不要)- ★★★☆☆
マハナコンエナジー社が運営する充電サービス。充電スポットの数はやや多め。
筆者が利用した充電スポットは「Siam Premium Outlets」に設置されている充電器(38kWh)だ。
単価は6.55バーツ/kWhで、53分ほど充電して計14.96kWhを充電した。筆者が充電時の平均充電出力は約17kWhとなる。
利用料はサービス料として計97.99バーツのみだった(駐車料金なし)。
充電までのステップは以下の通りだった。
- 専用アプリより、利用したい充電スポットを選ぶ。
- スマホで充電スタンドのQRコードを読み取る。
- 充電コネクタを車に接続する。
- 専用アプリで充電したい時間数(1時間単位)を選択する。
- 充電開始を操作すると、充電が始まる。
- 選択した時間が経過すると充電が自動的にストップする(選択した時間までに100%に達した場合は、その時点で終了となる)。
- 15分以内にチェックアウト操作がなければ超過料金(1時間あたり100バーツ)がかかる。
- 充電スタンドのQRコードを読み取ってチェックアウト。
利便性など総合評価は5つ星中3としたい。理由は、チェックアウトQRコードの読み取りを忘れた場合、充電スポットから車を移動していても超過料金がかかることだ。
On-ion(予約不要)- ★★★☆☆
セントラル系デパートなどで充電スポットを提供する会社。充電スポットでは珍しく、駐車スペースに可動式の入庫止めが設置されているのが特徴。
筆者が利用した充電スポットは「Central Festival Eastville」に設置されている充電器(7kWh)だ。
単価は60バーツ/時間で、2時間54分ほど充電して計17.37kWhを充電した。筆者が充電時の平均充電出力は約6kWhとなる。
※充電スポットによっては、より高出力の充電器が設置されていることもある様だ。
利用料は充電料として計180バーツのみだった(駐車料金なし)。1KWh単価にすると約10.36バーツ/kWhとなる。
充電までのステップは以下の通りだった。
- 専用アプリで充電スポットを選択し、利用したい充電スタンドを選ぶ(Availableと表記されているもの)。
※ 主に駐車スペースとして駐車しながら充電するタイプのため、充電スタンドが長時間占有されていることが多い。 - 充電スタンドを選んだら、入庫止めを下げる操作を専用アプリで行う。
※入庫止めが下がったら、15分以内に駐車および充電開始を捜査する必要がある。 - 充電コネクタを車に接続し、専用アプリで充電スタンドのQRコードを読み取る。
- 充電開始を操作すると、充電が始まる。
- 出庫したいタイミングで、専用アプリから充電終了を操作。
- 車から充電コネクタを取り外す。
- 専用アプリで充電スタンドのQRコードを読み取ると決済画面になる。
- 充電終了から15分以内に出庫する。
※決済画面で手間取って15分以上経過すると超過料金あり。
利便性など総合評価は5つ星中3としたい。理由は、7kWhの出力では一般家庭での充電と変わりなく、長時間をデパートで過ごす必要があり、かといって充電単価が安いわけでも無いからだ。
Altervim Super Charge(予約不要)- ★★★★☆
テスコ・ロータスで充電スポットを提供する会社。大型のロータスで充電スタンドが設置されていることが多い。
筆者が利用した充電スポットは「Tesco Lotus Bangkapi」に設置されている充電器(150kWh)だ。
単価はスーパーチャージ(DC)7.5バーツ/kWhで、30分ほど充電して計26.03kWhを充電した。筆者が充電時の平均充電出力は約52kWhとなる。
利用料はサービス料として計165.22バーツのみだった(駐車料金なし)。筆者の場合は、この時期に提供されていた「ロータスポイント1ポイントで30バーツ分の充電費用割引き」を利用した。
充電までのステップは以下の通りだった。
- 充電コネクタを車に接続する。
- 専用アプリで充電スタンドのQRコードを読み取る。
- 専用アプリで充電時間を選択する(10分単位)。
- 充電開始を操作すると、充電が始まる。
- 選択した時間が経過すると充電が自動的にストップする。
- 専用アプリで充電終了操作をして、チェックアウト。
利便性など総合評価は5つ星中4.5としたい。理由は、買い物時間に応じて充電時間を選択する必要があるためだ。とはいえ、利便性が良く、かつ単価としては非常にリーズナブル。
EleXA(予約不要)- ★★★☆☆
タイの電力発電機関(EGAT)で、タイ政府のエネルギー省の管轄する企業が運営する充電サービス。充電スポットの数はそこそこ。
筆者が利用した充電スポットは「HomePro Praram9」に設置されている充電器(22kWh)だ。
単価は8.5バーツ/kWhで、20分ほど充電して計4.037kWhを充電した。筆者が充電時の平均充電出力は約12kWhとなる。
利用料は充電料として計34.32バーツのみだった(駐車料金なし)。
充電までのステップは以下の通りだった。
- 専用アプリで充電スタンドのQRコードを読み取る。
- 充電コネクタを車に接続する。
- 専用アプリで充電開始を操作すると、充電が始まる。
- 専用アプリで充電終了を操作すると、充電が停止する。
- 専用アプリで支払を済ませる。
利便性など総合評価は5つ星中1としたい。理由は、充電を始めようとすると本人確認の手続きを要求され時間を要したことと、単価の割に充電に時間が掛かる事だ。とはいえ、買い物と食事をゆっくり済ませたい場合は、アリかもしれない。
2024年2月1日追記:
その後「Midwinter Khaoyai」にて急速充電器を利用し、使い勝手が良かったため、「★1つ」から「★3つ」に変えました。充電スポットを選ぶときは、充電スタンドの容量もチェックすると良いですね。
PEA VOLTA(予約不要)- ★★★★☆
Bangchak系のガソリンスタンドで併設されていることが多い、充電サービス。バンコク郊外なら充電スポットの数は多め。
筆者が利用した充電スポットは「Bangchak Wangnoi」に設置されている充電器(50kWh)だ。
単価は7.4バーツ/kWhで、30分ほど充電して計24.262kWhを充電した。筆者が充電時の平均充電出力は約25kWhとなる。
利用料は充電料として計179.54バーツのみだった(駐車料金なし)。
充電までのステップは以下の通りだった。
- 専用アプリに残高をチャージする。
- 専用アプリで充電スタンドのQRコードを読み取る。
- 充電コネクタを車に接続する。
- 専用アプリで充電開始を操作すると、充電が始まる。
- 専用アプリで充電終了を操作すると、充電が停止する。
利便性など総合評価は5つ星中4としたい。理由は、充電操作が比較的簡単なことと、単価も割安なことだ。
EV Station PluZ(予約不要)- ★★★★☆
ザ・モール系を始め、バンコク全域のショッピングモールやガソリンスタンドに併設されていることが多い。充電スポットは比較的多め。
筆者が利用した充電スポットは「The Mall – Bangkapi」に設置されている充電器(7kWhおよび22kW)だ。
単価は9.0バーツ/kWhで、7kWhタイプの充電スタンドでは1時間30分ほど充電して計7.918kWhを充電、22kWhタイプの充電スタンドでは2時間ほど充電して計20.110kWhを充電した。筆者が充電時の平均充電出力はそれぞれ約5.3kWhと約10kWhとなる。
利用料は充電料としてそれぞれ計71.26バーツ、計160.99バーツのみだった(駐車料金なし)。
充電までのステップは以下の通りだった。
- 充電スタンドに駐車し、充電コネクタを車に接続する。
- 専用アプリで充電スタンドのQRコードを読み取る。
- 専用アプリで充電開始を操作すると、充電が始まる。
- 車側で充電終了を操作すると、自動的に決済が行われ、充電が停止する。
利便性など総合評価は5つ星中4としたい。理由は、充電操作が比較的簡単なことと、(筆者の移動圏内では)利便性の良い場所に設置されているためだ。
EVolt(予約不要)- ★★★☆☆
ホームプロなどに併設されていることが多い充電スポット。バンコク都内の充電スポットの数はどちらかといえば少なめ。
筆者が利用した充電スポットは「Mega Bangna – Homepro」に設置されている充電器(22kW)だ。
単価は9.0バーツ/kWhで、2時間ほど充電して計19.3kWhを充電した。筆者が充電時の平均充電出力は約10kWhとなる。
利用料は充電料として計191バーツのみだった(駐車料金なし)。
充電までのステップは以下の通りだった。
- 充電スタンドに駐車し、充電コネクタを車に接続する。
- 充電スタンドに書かれているスタンド番号と同じスタンドを、専用アプリで探し出してから、専用アプリで充電開始を操作(予めアプリ側にトップアップ操作が必要)。
- 専用アプリで充電終了を操作すると、充電が停止する。
- この時点で残高が足りないと、トップアップが必要。
利便性など総合評価は5つ星中3としたい。理由は、充電スタンドの番号を間違えると駐車し直す必要があり、急いで出庫したい場合は決済操作に手間取ると難だからだ。
MEA EV(まだ試していない)
レビューをお待ち下さい。
Tesla Supercharger(テスラ車オーナーのみ)- ★★★★★
テスラ社が、テスラ車オーナーの為に提供する充電サービス。今後はテスラ車オーナー以外にも解放される予定あり。
筆者が利用した充電スポットは「Tesla Service Center – Ramkhamhaeng」に設置されている充電器(250kWh)だ。
単価は10.1バーツ/kWhで、20分ほど充電して計25kWhを充電した。筆者が充電時の平均充電出力は約75kWhとなる。
利用料は充電料として計252.5バーツのみだった(駐車料金なし)。
充電までのステップは以下の通りだった。
- 充電コネクタを車に接続する。
- 好みのタイミングで充電終了操作をして充電を終える。
利便性など総合評価は5つ星中5としたい。単価は高価だが、充電速度が速く、充電開始・終了操作にほとんど不便が無いことだ。
2024年5月24日追記:
いつの間にか充電単価が改定されており、単価は8.7バーツ/kWhになっていた。充電スポットも次第に増え、「Central Eastville」でも充電できるようになった。ちなみに、皆ご存じの「Central World」では充電単価8.5バーツ/kWhである。
2024年10月18日追記:
さらに充電単価が改定され、単価は7.17バーツ/kWhに。競合充電サービスも増えて来たためでしょうか。それとも、次期V4タイプの導入で他の電気自動車の充電ニーズを取り込もうとしているのでしょうか。
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※日本の場合は70,000円の割引が受けられます。タイの場合は、17,000バーツの割引が受けられます。