在タイ日本大使館サイトより転載しました。
タイ国に居住している日本人とタイ人夫婦とが離婚する場合の渉外的離婚手続については、法の適用に関する通則法(わが国の国際私法)、日本国民法及びタイ国民商法等の諸法令が重複適用されます。
主な手続の種類を大別すると次のとおりとなります。
国際私法について
国際結婚・貿易取引等のような複数の国に関わる渉外的私法関係を処理するにあたり、いずれの国の法を適用するかを指定する法。抵触法ともいう。外国判決の承認・執行や裁判管轄権の問題も扱う。
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日本国民法に基づく離婚手続き
(窓口:日本の本籍地役場)
夫婦の一方である日本人配偶者の常居所(下記参照)が日本にあると認められるときは、日本国民法(以下、単に「民法」という)に基づく離婚届を日本の本籍地役場(市区町村)に対して届出(郵送また第三者による持参提出)をすることができます(法の適用に関する通則法27条但書、戸籍法40条、民法764・741・739条)。
常居所について
常居所とは、単なる居所とは異なり、人が相当長期間にわたって居住する場所を意味し、住所に類似した概念とされています。住民登録があれば、通常、日本に常居所があると推定されますが、その認定は行政講学上、居住年数、居住目的、住居等の諸要素を総合的に勘案してする必要があるとされています。よって、その具体的認定は日本の市区町村役場がおこないます。
【必要書類】
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- 離婚届 2通
- 戸籍謄本(市区町村役場発行日から3ヶ月以内のもの)2通
- タイ人配偶者の国籍を証明する書類(タイ国住居登録証や旅券等)
- 上記和訳文(要翻訳者名明記)
翻訳箇所: 1頁、個人頁(配偶者)18頁(該当ある場合のみ)*タイ人配偶者側の必要書類については、役場により取り扱い(原本性や翻訳の様式等)の相違がありますので、お届けになる役場に直接ご確認下さい。
【留意事項】
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- 日本人配偶者の常居所が日本になければなりません。届出に際し、当事者夫婦に出頭義務はありません。ただし、本届出は、外国人配偶者も届出人となる創設的届出となりますので、届出の窓口は日本の本籍地役場のみとなります。大使館または総領事館には届出をすることができません(戸籍法40条)のでご注意ください。
- 当初の婚姻の準拠法が民法以外の他国の法律(タイ国法など)であっても、協議により届出をすることができます(民法739条・764条)。
- 証人(成年に達している者)2名の連署が必要です(民法739条2項)。届出に際し、証人の方に出頭義務はありません。
- 離婚する夫婦に未成年者の子がある場合は必ず夫婦の一方を親権者と定めなければなりません(戸籍法76・78条、民法819条・766条)。
- 婚姻に際し、タイ人配偶者の氏に姓を改めた方は、離婚の日から3ヶ月以内に限り、届出により、元の日本人としての姓に変更することができます(戸籍法107条3項)。
- この離婚届が受理されると、日本人配偶者の戸籍に離婚の事実が記載されます。タイ人配偶者の方は、タイ国郡役場での自らの離婚手続(家族状態登録 簿の変更)のため、本戸籍の翻訳が必要となります。当館では、申請に基づき、本手続に必要な証明書(離婚証明書)を発行しています。
●離婚証明書の発行のための必要書類は「戸籍記載事項証明」をご参照ください。
双方が離婚について協議が整えば、タイ国法に基づく協議離婚の登録をすることができます(タイ国民商法1515・1531条)。
タイでの離婚登録手続の詳細については、タイ国郡役場にお問い合わせください。
*タイ国での離婚手続終了後、引き続いて日本国側での離婚手続をおこなう(窓口:大使館・総領事館又は日本の本籍地役場)
タイ国での離婚登録後、3ヶ月以内に、大使館・総領事館または日本の本籍地役場に離婚届(報告的)を提出しなければなりません(戸籍法41条、民法764・741条)。この届出をしてはじめて両国での離婚手続が完了します。
【日本国側に離婚届(報告的)を提出するために必要な書類】
【留意事項】
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- 報告的届出なので、日本の常居所の有無にかかわらず、大使館・総領事館または日本の本籍地役場のいずれにも届出することができます。ただし、日本の本籍地役場に届け出る場合、必要書類については、役場の担当者に詳しくお問い合わせください。(役場によっては、上記以外の書類が必要となる可能性もあります。)
- 離婚する夫婦に未成年者の子がある場合は必ず夫婦の一方を親権者として定めなければなりません(戸籍法76・78条、民法819条・766条)。タイ国役場が発行する離婚登録簿にもその旨の記載がなければなりません。
- 報告的届出のため、証人は不要です。
- タイ国での離婚登録日から3ヶ月以内に届出が必要です(戸籍法41条)。なお、報告的届出のため、届出人は日本人配偶者の方となります。届出に際し、タイ人配偶者の出頭及び署名は任意です。
タイ国に居住する日本人とタイ人夫婦が、離婚について協議が整わない場合、裁判を申し立てることができます。そして、タイ国裁判所における離婚判決が確定した場合、その離婚判決は、民事訴訟法118条に規定する要件(後記参照)を具備する限り、日本においても効力を有します。この場合、判決のあった
日から10日以内に、日本の市区町村役場または大使館・総領事館に離婚届(報告的)を提出しなければなりません(戸籍法77・63条、民法764・741条)。この届出をしてはじめて両国での離婚手続が完了します。
【民事訴訟法118条に規定する4要件】
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- 法令又は条約により外国裁判所の裁判権が認められること
- 敗訴の被告が公示送達によらないで訴訟の開始に必要な呼び出し等の送達を受けたこと又は被告が応訴したこと
- 判決の内容及び訴訟手続が日本の公序良俗に反しないこと
- 相互の保証があること
【必要書類】
【留意事項】
- 報告的届出のため、証人は不要です。
- タイ国での裁判確定から10日以内に届出が必要です (戸籍法77・63条)。なお、報告的届出のため、届出人は日本人配偶者の方となります。タイ人配偶者の出頭及び署名は任意です。