タイ進出日系企業を初めて協同で実態調査

中小企業総合事業団が、盤谷日本人商工会議所・中小企業支援委員会、ジェトロバンコク事務所、JODCバンコク事務所の協力を得ておこなったタイ進出日系企業の実態調査がまとまりました。包括的に日系企業情報を収集する初の試みです。

現在、盤谷日本人商工会議所は、世界で一番の会員数を誇っています。しかし会員制機関ゆえ会員以外の情報は把握できません。特に、中小企業についてはその数すら掴めていない状況でした。中小企業の支援機関が協同で進出実態を把握し、手を携えて経営支援をすべきとの考えから調査が実施されました。前述の協力機関とタイ国商務省などから寄せられた日系企業のデータは1万2800件ほどに上り、名寄せした企業総数は6200社ありました。

日本の法人による資本参加が確認できた企業数は3100社超。うち具体的な日本側出資者が把握できた2640社を基準にしても、日本人商工会議所の会員1177社の2.5倍以上の日系企業が進出していたことになります。

2640の日系企業のうち中小企業は1358社で、その比率は51%でした。そのうち製造業が747社で55%を占め、次いで卸売業の246社・18%が続きました。

タイには外国企業法があり、商業分野で日系マジョリティで設立する場合、1億バーツ以上の資本金が必要です。卸・小売業や飲食業で1億バーツの投資は過大です。したがって、中小企業においては名目上タイ人やタイ法人名義で会社を設立することが多くなります。飲食業を例にとっても、日本レストランは銀行系シンクタンクの調査ではタイに300店以上あると推定、食材卸からのヒアリングではバンコクだけで400店を超えるとも言われています。

これらの法規制対象業種の実態については、今回の調査においても把握が困難でした。アンケート未回収分を含めても飲食業は284社です。商業関連企業の構成比は、母集団をアンケート未回収分も含めた企業群から、回収企業のみへと絞り込むほど下がる傾向にあります。

製造業の業種構成では、自動車関連の進出層の厚みを反映して輸送用機器が13%と最多。次いで金属製品11%、一般機械器具と電気機械器具がそれぞれ10%前後ですが、機械金属や電気機器製造に分類される企業の中にも、自動車関連の部品メーカーがかなり含まれていると推定されます。製造業の地域別分布ではバンコクが61%を占め、2位がサプットムットプラカーンの9%。卸・小売・サービス業ではバンコク集中が顕著で8割を超えています。

今回の調査で多数の企業の実態が把握できました。資料は当事業団をはじめとした各支援機関の事業の質的向上と、海外で事業活動を行っている中小企業への支援充実を図るため最大限に活用する所存です。(2004年1月)

中小企業の業種分布

  業種 件数 構成比(%)
1 製造業 747 55
2 卸売業 246 18
3 サービス業 134 10
4 建設業 43 3
5 通信業・情報サービス等 42 3
6 運輸業 41 3
7 飲食店 29 2
8 その他業種 25 2
9 小売業 22 2
10 不動産業 16 1
11 教育・学習支援 8 1
12 金融・保険業 5 0
  合計 1,358 100

出所:「日系企業進出動向調査」(中小企業総合事業団)